2005年 07月 17日
前回の続きで、レビューです。
一冊分保留にしてたら、これを書くまでの間にもう一冊読破してしまいました(苦笑)。 やっぱりこつこつ書いてかなきゃダメだな。。 では、早速。 一冊目は村上春樹の『遠い太鼓』。 この本は、彼が三年間日本を離れギリシャやイタリアで暮らした日々の様子を 旅行記仕立てで書き上げたものなんですが、これがもう抜群におもしろい。 ギリシャでも、イタリアでも、小旅行で訪れる国々でも、 いたるところで災難に(彼は本当によく災難に遭う 笑)遭う様子が 彼のユーモア溢れる表現によっておもしろおかしく描き出されていて、 やたらな本よりも、その国のお国柄がわかりやすく伝わってきます。 始めはちょっと読みにくいところもあるけれど、 加速度的におもしろくなっていくタイプの本でした(笑)。 ギリシャからイタリアに移ったからかもしれません。 これから海外に旅行する人には「海外では上手くいかないのがどれくらい当たり前なのか」、 「どれだけ怒っても仕方がないか」を実感すべく読んでもらいたいし、 実際訪れたことがある人にも、「あぁ、あるある(笑)」みたいな感じで読んでもらいたいけれど、 そういうこと抜きで、単純におもしろいので(実際に声を上げて笑っちゃう場面もありました)、 ぜひぜひみなさんに読んで頂きたいなと思う、そんな素敵な本です。 続いては同じく村上春樹の『やがて哀しき外国語』。 これはアメリカはプリンストンに住むことになった著者の、アメリカでの暮らしに関するエッセイです。 『遠い太鼓』に書かれたヨーロッパ滞在から帰国した村上夫妻。 ところが帰国して一年もしないうちに今度はアメリカで暮らすことに(笑)。 スコット・フィツジェラルドの母校であるプリンストン大学に招かれ、滞在することになったのです。 読んで感じた前作との一番の差異は、著者も述べているように、 前作はあくまで「通り過ぎる者」としての視線で一次的、二次的なことを述べていたのに対し、 (そもそも旅行記ってそういうものですよね。) 今回は社会に属する者の一人として、もう少し深い部分、二次的、三次的な部分について 言及している部分だと思います。 もちろん国が違う、ってのも大きいですけど(苦笑)。 『遠い太鼓』に比べると、短くて読みやすいので、「まずは」って感じでとっつきやすいと思います。 個人的には前者の方が好きでしたけど、どちらもオススメです。
by rtaro2
| 2005-07-17 12:32
| Focus on : Books
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